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かいわれっ! [TSF関連]

話題になっていたゲームですが、早速軽くレポ。
つか、すでに全てのCGをゲットしてしまっていますが(苦笑
全然選択肢がないので、攻略もクソもなかった感じ。
内容としては、各キャラの内面を、
入れ替わりによって普通なら知り得なかった事実が発覚するという形で掘り下げていく、
と言った入れ替わりものの王道のような展開。
ちょっと男キャラの越中のシナリオが意外でしたが(笑

で、肝心のTSF的旨味ですが。
これは多少はありました。
一つは凛の体になっての着替え(全身鏡の前)
もう一つは柴森の体になってのひとりH。
大きくはこれだけですね。

さて、これが値段なりの価値があるかどうかと言うと…うーむ。


Do(どー)する!?パラダイス [TSF関連]

コミックボンボン8月号(いつの間にかサイズが変わってたんだねえ。見つからなかった)
「Doする!?パラダイス」simulation8「女の子のキモチ」
作者:玉越博幸

サッカー部所属の主人公、山田広太は女嫌い。
そんな彼に突っかかる風紀委員の北島香。(ん?どっかで見たような設定だな)
二人は廊下を走っていて、廊下の角で衝突してしまい、
そのショックで見事に入れ替わってしまいます。(この辺り、ベタですね)
香になった広太は仕方なく香の家に。
広太は戸惑いつつも、香の生活を送っていきます。
この辺り、女嫌いって設定があまり生かされてない気はするけど。
着替え、トイレなどを体験しつつ(この辺りは子供向けなので寸止め)
お約束の女子の体育などを体験。
で、放課後になって、友人にほだされて香の意中の彼に告白させられる羽目に。
それが自分自身だってんだからお約束にもほどがある(笑
で、友達の押しつけられた勢いで二人は激突、元に戻ります。
んで、二人は結ばれる、と本当にお約束でしたねえ。
でも、入れ替わりモノとしてのできは中々なので、結構オススメかも。

余談だけど、巻末に載ってた天才バカボンは懐かしい知ってる話だったので笑えた。


相対的恋愛論 [TSF関連]

某所で情報を見かけたので早速購入。
宙出版「恋愛Revolution」収録。
某化粧品メーカー勤務ののどかとキサブローの二人。
この二人が神様のイタズラ(謎ですなあ)で入れ替わってしまいます。
仕方なくお互いの家に戻った二人はお約束の探索に(笑
ココの描写は結構美味しいものがあります。
話の展開はかなり少女漫画っぽいものがありますが(苦笑
セックスしたら元に戻り、もう一度やると入れ替わる辺りもお約束。
女性向けにしては結構よかったんじゃないでしょうか。お試しのほどを。


コミケ [TSF関連]

今年もやってまいりましたね。
「入れかえ魂」さんも見事に当選されたようで。
今回も参加させていただいてます。
くわしくはこちらへどうぞ。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/migu/

さて、今年も豪華な顔ぶれですねえ。
楽しみにしてましょう。私は恐らく行けませんが(苦笑


ちょっとした情報 [TSF関連]

スカパー、724 アニマックスで、7/5(水)から7/6(木)にかけて、
「こち亀」の該当話、「両津死す!ナニィ!?」が放送されます。
これは確か麗子への憑依と言うかなりの美味しさだったと思うので、
要チェックでしょう。
7/5 18:00
7/6 2:00、7:00


同居人(16) [TSF関連]

 結局、ようやく気持ちの整理が着いた私が女子寮に帰ったのは、それから数時間経ってからのことだった。

 その女子寮の前に、見知った顔があった。私が自分の次によく知る人物――もちろんそれは・・・

「よう、首尾はどうだった?・・・その顔じゃ上手く行かなかった?」

「・・・」

 心底、私のことを気遣っている。それが如実に分かるような表情を浮かべている馬場くん。ああ、やっぱりそうなんだ――

「ダメだった。ダメだったけど、一つ判ったことがあるの」

「ん?判ったって?何のことだい?」

 幾分緊張しながら聞いてくる馬場くん。私の口からどんな言葉が飛び出すのか、まるで見当のついていない様子だ。私本人にだって今からどう展開してくか、まるで分かってないのだから。

「さっき、衛くんに告白したんだけど、断られちゃったんだよ――いや、それはもう済んだことだからいいんだけど、その時に彼に言われたのよ。それで判ったんだよ。私の本当の気持ち」

「本当の気持ち?どういうことだ?」

 どうやら彼も薄々は気付いているのだろうけど、それを私の口からいわせるつもりらしい。まあ、それも仕方ないか。ずっと気付かなかったのは私なんだし。

「――結局、私っていつも自分勝手に動いていたんだね。それでみんなに迷惑掛けてたんだ。それがやっと分かった」

「??」

「ゴメン。やたらと遠回しだったね。言葉にするの、ちょっと怖かったんだ。馬場くんがどう受け取るのかが想像できなくて。でも、大事なことだからちゃんというよ」

「な、何だい」

「私、衛くんじゃなくって、馬場――洋くんのことが好きだったみたい。あなたが私のことをどう思っているのかは解からないけど、これが私の気持ち。――受け取ってくれるかな?」

 恥ずかしい――恐らく顔は真っ赤になってしまっているだろう。まったく、一日に二度も告白するなんて、一生のうちにもうないことだろう。

「そっか。そうだったんだね。気付いていなかったかもしれないけど、入れ替わってからこっち、おれはずっとお前のことが気になってたんだぜ。だけど、お前が衛に気があったみたいだから、応援してきたんだ。だから――」

 がばっと洋くんが私を抱きしめてきた。もちろん、私は抵抗などせず、彼の背中に腕を回し、彼の体を自分の方に引き寄せる。彼のぬくもりというか熱が私を包み込み、幸せな気持ちが全身に広がっていく。そっか、これが――

「もしかして、私たちが入れ替わったのも、神様のプレゼントだったのかもね」

「――ああ、そうかも。運命って奴があるとするなら、おれたちは入れ替わるべくして入れ替わったのかもな」

「そうだよ。だから、二度と入れ替わらないように、私をずっと好きでいてよ」

「うん。きっとな。だっておれたち、これほどの強い絆を持っているんだもの」

「・・・そうよね。私の部屋も何も――あ、そういえば洋くんって、私のハダカとかも見たんだ!うーっ!」

「ちょ、しょ、しょーがないだろ?一日中服を脱がないで過ごすなんて不可能なんだったら!いいじゃないか、こうして二人は付き合うことになったんだから!」

 私は彼に詰め寄るようなフリをして、再び彼を抱きしめた。今度はちょっと強く。彼も私を優しく受け止めてくれる。そっか、この優しさが私に彼を肉親に感じさせたんだね。

「なあ。プールのシーズンは終わっちまったけど、隣町に温水プールがあるんだけど、そこへ行かないか?今度は二人きりでさ。きっと楽しめると思うんだ」

「うん!じゃあ、明日早速行こう!」

 私の気持ちは早速明日に飛んでいた。私と洋くん、きっと上手く行くと思う。だってこれほどお互いを分かり合っているカップルは他にないもの。さ、部屋に帰って智夏に報告しなくっちゃ!――洋くんと付き合うことになったんだ、ってね。

(おわり)


同居人(15) [TSF関連]

「はっ――!」

 朝、慣れない感覚に戸惑いを覚え、私は早めに目が覚めてしまった。

「あ、そっか。元に戻ったんだっけ。ええっと、まずは何するんだっけ?」

 いつの間にか馬場くんとしての生活に体が馴染んでしまっていたようで、神奈川芽衣未って女の子がどんな生活パターンだったのか、イマイチ思い出せない。寝起きで回らない頭をフル回転させる。

「えっと、まずは――」

「おっはようー」

「おはよー」

 教室に入って声を掛けると、いつもとは違う面々から返事が返ってくる。もちろん、共通のメンバーはいるけど、やはり圧倒的に女子が多い。それが違和感を呼ぶほどまでに私は馬場くんの生活が身に染みてしまっていたらしい。多分、すぐに元の感覚に戻るだろうけど、しばらくは自分が自分じゃないみたいに感じるかも。

 と、早速席を間違えそうになる。ってか、あれから席替えしてるから、私の席ってどこだっけ。――前の方だったと思うけど・・・あ、これだ。乏しい記憶を頼りに、どうにか自分に割り当てられているはずの席を探し出した。うーん、先が思いやられるなあ。トイレとかも間違わないようにしとかなきゃ。

「おはようー」

 ちょっと遅かったみたいだけど、ようやく馬場くんも登場した。彼の方はおどおどした様子もなく、私が知る限り、至って普通の態度に見える。うーむ、さすがに冷静というか、順応性があるというか。私とは全然違うな。

「よう、おはよう」

「お、おはよ」

 通り抜けざまに声を掛けられた私は、ちょっと狼狽しながら挨拶を返す。うーむ、どうしてこんなに緊張しなきゃいけないんだろ?それに何だか妙に照れくさいのだ。これは馬場くんと入れ替わっている間にはなかった感覚だ。自分の姿ではない馬場くんを見るのが久しぶりのせいかもしれない、うん、きっとそうだ。

 と、自分の席に荷物を置いた馬場くんが戻ってきた。私の席の前に立って、小さな声でこんなことをいう。

「衛のところに会いに行ってやれよ。元に戻ったんだから、これでお前が正式に衛の彼女なんだからさ。後はお前次第だぜ」

「あ、う、うん」

 そ、そうだった。衛くんのことがあった。昨日までは私は馬場くんという友人として衛くんと接すればよくて、かなり気が楽だったんだけど、恋人となるとそうもいかない。醜態は見せられないし、自分をよく見せなければいけない。

「まあ、そんな緊張するなよ。あいつはちょっととっつきにくいけど、決して悪い奴じゃないからさ。決して相手を傷つけたりはしないって」

 そりゃ分かる。衛くんはちょっと変な気の遣い方をしたりはするけれど、概ねは優しい人だ。けど、人を寄せ付けない何かがあるのも確かなのよね。それが彼をやや孤立させている原因なのかもしれない。ま、今では何の気兼ねもなく話しかけられはする、はずだけど。

「じゃあ、頑張って行ってみるよ」

「ああ、頑張れよ。おれは応援するしかできないけどさ」

「ありがと」

 馬場くんに勇気付けられた私は、しかし放課後になるまでなかなか動くことができなかった。悩みぬいた末、ようやく行動を決心する。

「衛くん!」

「ん?あ、ああ。神奈川さんか。どうした?」

「ちょっと話があるんだけど、付き合ってくれない?」

「ああ、いいけど。じゃあ、部活があるから、早く行こうぜ」

 こっちから誘ったはずなのに、いつの間にか急かされてるじゃない。私たちは靴に履き替え、中庭に向かった。そこそこ人は往来しているけど、誰も私たちには注目していないみたい。ここなら話をしても問題ない、はず。

「で?話って何だよ。急ぎの用なんだろ?」

「う、うん。それじゃあ言わせてもらうけど、私のこと、いまだに『神奈川さん』って呼ぶよね。それ、やめてくれない?できれば名前の方で呼んで欲しいな」

「ん?そういえばそうだな。でも、別にいいじゃないか。何だか照れくさくてさ」

 はにかみながらそう答える衛くん。本当に恥ずいと思っているらしい。私はひるまずにさらに言葉を重ねる。

「でも。私たちって付き合ってるんだよね。だったらやっぱり名前とか愛称で呼び合うのが普通じゃない?」

「うーん、でもさ。オレたちってホントに付き合ってんのか?前からずっと思ってたんだけど――」

「な、何を?」

 急に話の風向きが変わり、私も一気に攻めから守りへと転換を余儀なくされた。衛くんは一体何をいおうとしているのだろうか?緊張が一気に高まる。

「お前ってさ、本当にオレのこと、好きってわけじゃないだろ」

「へっ!?ど、どうして?」

 意味が分からない。私が衛くんのことを好きな気持ちは間違いないもので、それは動かしがたい事実なんだけど・・・あ、そっか。昨日までは馬場くんが中にいたから・・・

「見てれば分かるよ。お前の気持ちはオレには向いていなくて、誰か他の奴に向いてるってのが。今でも感じるぜ。お前の気持ちがどっか他の場所にあるってな。だから、お前の気持ちは受け取れない。そいつにぶつけてやれよ」

 「じゃあな、オレは部活があるから」そういい残すと、衛くんは校庭に向かって駆け出していった。

 ――私が衛くんじゃない誰かを・・・?それがあるから衛くんは私を受け止めてくれない?それってまさか・・・!

 膝の力が抜けてその場に崩れ落ちてしまった私は、ある結論に辿り着いた。けれど、涙が止まらない。この気持ちって一体何だろう?私は一体どうすれば・・・?

 私は校庭に座り込んだままずっと動けないままだった。

――第十六話へつづく


同居人(14) [TSF関連]

 修学旅行から一週間が経ち、帰った頃はたっぷりとあったリゾート気分も今はすっかり冷めてしまっていた。

 帰ってからも衛くんと馬場くんの間に特に大きな進展はなく、私の中でもどかしさだけが募っていっていた。けど、馬場くんを弁護するなら、もし私が自分の体だったら、どこまでやれたかと思うと、馬場くんなりにかなりよくやってくれている、という気がしないでもないかな。

 いずれにせよ、神奈川芽衣未と相川衛という二人の男女の仲には、あまり大きな進展が見られないまま、時間だけが過ぎていっていた。けれど、二人の間が決定的に引き裂かれる、ということもない。私と馬場くんが姉弟みたいだというのと同じで(どっちが上なんだかは知らないけど)、馬場くんと衛くんとの関係も元と同じ友達みたいな感覚なのかもしれない。

「お、待ったか?」

「ううん、ちょっと智夏と話してたからね。今来たところだよ」

 放課後、私と馬場くんは待ち合わせをして、一緒に帰ることになっていた。世間ではこんな行動をするからこそ勘違いされているみたいだけど、当人としては全然そんな感覚はなくって、家族的な感覚が存在しているに過ぎないし、もし、衛くんや智夏が帰宅部だったらそれとも一緒に帰るだけの話で、たまたま二人だけが帰宅部だから、こうして一緒にいるだけなんだけど。

「そっか。じゃあ帰ろうか」

 私は馬場くんと情報を交換しながら家路についていた。

 馬場くんによると、今度の週末にも衛くんとのデートを予定しているらしい。相変わらず、男同士の感覚が抜けないらしくて、妙にやりにくいって馬場くんはいってる。そりゃそうだろうな。私と智夏でデートすることになったとしたら、同じような気分になるだろうし。

「あ、雨だ・・・!」

 ぽつっとおでこに何かが当たったかと思うと、次は頭の上にも。どうやら季節外れの夕立らしい。あれよあれよという間に、ものすごい量の雨が降り注いできた。

「こ、こりゃ・・・いな・・・!は、・・・るぞ!」

「う、うん!」

 しゃべる声もはっきりと届かないほどの雨。私と馬場くんは屋根のあるところを目指し、駆け出し始めた。けれど、この辺りは何もない空地で、ここを抜けて住宅地に出なければ雨宿りはできない。私たちは靴が汚れることなど、気にかけることもできずに空地の出口を目指した。

 その時――事件は起こった。

 突然頭上で起こった爆発的な光。それが目に入った瞬間、私の全身に大きな衝撃が走った。私は有無をいわせずに意識を持っていかれてしまっていた。

「ううう・・・」

 次に気が付いた時には、雨はすっかり上がってしまっていた。けど、私の顔は地面に溜まった雨水でしとどに濡れてしまっている。その顔を手で拭き取ろうとして、私は違和感に気が付いた。

「え・・・?この感触は・・・!」

 すっかり慣れたはずのがさっとした手触りとは違って、ちょっとつるんとしている肌・・・これってもしかして・・・私が反射的に隣を見ると、そこには馬場くんの姿が!

「ば、馬場くん!ってことはもしかして――!ちょ、ちょっと起きてよ、馬場くんったら!」

「つまり、元に戻ったってことだな。多分、さっき雷に打たれたショックだ」

「そうみたい。あ、体は大丈夫?」

 もう自分の体でもないのに、思わずそんな心配の言葉が出てしまう。私の方はというと、まだしびれた感じは残っているけど、体は無事みたいな感じだ。馬場くんも同じらしく、しばらく手や首を動かした後、「大丈夫みたいだ」と教えてくれた。

「これはおれの勝手な想像だけど。おれたちの体を元に戻そうとするのに、雷のほとんど全部のエネルギーを使ったんじゃないのかな。だから怪我一つなく助かったんだと思う」

「そっか、そうかもね。そういわれたら階段から落ちた時も、それほどひどい怪我しなかったよね。あれも同じ理屈なんだろうな」

「ああ。ポンポンと簡単に体なんかが入れ替わっちまったら、そこら中でそんな話が出てくるだろうからね。そうならないってのは、これがかなりの偶然だってことだ」

「うん。それが運がいいか悪いかは別としてね」

 あはは、と思わず二人して笑ってしまう。そう、この「事件」は私たちにとってはどんな事件だったのか。振り返ってみれば、あまり嫌な思い出が出てこない。衛くんともお近付きになれたし、私にとってはいい方向だったんじゃないかな、ってまじめにそう思う。

「うわ、服もびしょぬれになってるよ。とりあえず、帰ろうか、自分のうちに」

「あ、うん!」

 雷で全てのエネルギーを使い果たしたのか、雲はすでに去り、柔らかな日差しが注いできている。私たちは冷え切った体を温めるべく、家に帰ることになった。そう、文字通り自分の家に。

――第十五話へつづく


気が付けば・・・ [TSF関連]

今日辺りでデビュー四周年になるんすね。
ペースはがた落ちだとは言え、ここまで続くとは思いませんでした。
この四年で一体何本書いたんでしょうねえ。
他人のことが分からないので何とも言えませんが、
この世界じゃ、何本かの指に入る本数じゃないんでしょうか。
質のほどはよく知りませんけどね(笑
まあ、状況が許す限りは続けていこうと思いますので、
これからもよろしくお願いします。


同居人(13) [TSF関連]

 二日目の朝。早めに寝た私だったけど、疲れていたのか、昨日ほどは早い時間に目が覚めなかった。けど、それは周りのみんなも同じ。ぐっすると眠っているようだ。やっぱり、みんな、それなりに疲れているみたいだ。

 目を覚めさせるために、顔を洗いに洗面所に向かう。と、衛くんだ。彼も同じ目的だったらしく、すでにそこにいて、蛇口をひねっていた。

「お、おはよう。変なとこで会うな。どうだ?体の方は。筋肉痛にはなってないか?」

「ん・・・ああ、ちょっと太ももが張ってるかな。まあ、大丈夫」

 いわれてみて、初めて自分の状態に気付く。どうやら、左足のふとももとふくらはぎ、そして右手の二の腕辺りが少し張っているようだ。どうしてそこなんだかはよく分からないけど、バランスがおかしいんだろうな、とは思う。

「そっか。でも、今日は一日あるからな。あまり無理はするなよ」

「心配ないって。そろそろコツも掴んできたし、昨日みたいにバタバタはしないさ」

 これは私の希望。実際には上手くなったらなったで、次のステップがあるのだから。衛くんの域まで達すればいいのだろうけど、一回ではさすがに無理っぽい。

「ところで、芽衣未ちゃんは元気にやってるか?あの娘も苦労しているみたいだったけど」

 ここで、私は複雑な気分になってしまう。「苦労しているみたいだった」ということは、全く気にかけていないことだから、それはいい。けど、「元気にやってるか?」というのはちょっと残念な台詞に思える。仮にも付き合っているんだったら、そういうのは本人に聞くべきなんじゃない?少なくとも私だったらそうするけど、男の人ってみんなそうなのかな?

「うん。大丈夫みたいだったけど。今朝は会ってないから、こっちと同じに筋肉痛にはなっているかどうかは知らないよ」

 思わず口をついて出るつっけんどんな返事。けれど、この場はそれが正しい対応の仕方だろう。私がまだ馬場くんに会っていないのは事実だし、仮に知っていたとしても、ここでしゃべってしまうのはどうかとも思う。衛くんにしたら、私と馬場くんの関係を変な風に想像しかねないだろうし。

「そっか。じゃあ朝飯の時に直接聞くか」

「そうしろよ。どうせすぐに会えるんだし」

「ああ、そうするよ。じゃな」

 顔をタオルで拭いつつ、衛くんは退場していった。私もすぐに顔を洗うことにする。廊下の寒さと今の会話で、半分くらい目が覚めてしまったけど。

 顔を洗って頭はすっきりはしたけど、さっきの会話の内容が、妙に頭にこびりついて、結局あまりいい気分にはなれなかった。

 さて、長いレッスンが始まった。所詮は遊び。だけれども、私と馬場くんにしたら、せめて人並み程度に――そういったプレッシャーのかかる一日の始まりだ。私は緊張しながら一歩を踏み出した。

「うわっ!」

 バランスを崩して、私は背中から落ちてしまう。頭を打たないように細心の注意を払う。何度も転倒して学んだ転び方だ。

「ふう。でも、かなり見えてきた。5メートルは進めるようになったし」

 正直、よくここまで上達したというのが感想だ。けど、周りのみんなとはさらに距離を開けられているような気がする。あ、もちろん、私以上にダメな人もいるのだけど。でもそれって、何のスポーツをやらせてもダメそうな奴じゃん。それらと同列に扱われているのが正直情けない。

「よし、じゃあ次は10メートル目標だ!」

 で、結局ゆっくりであれば、こけないで滑れるようにはなった。もちろん、傾斜がゆるいところ限定の話だけど。でも、全く滑れない、って状態から考えると随分な進歩だ。みんなには追いつけなかったけど、個人的には満足だ。

「どうだった、そっちは?」

「ん。まあ、何とかね。若干、前向きに体重をかけたらいい感じになったよ」

 着替えを終えた私は、待ち合わせしていた馬場くんと廊下の一角でそんな話をしていた。

「前向きって、それって結構加速がついて危ないんじゃないの?」

「ああ。けど、昨日も感じたけど、女の子って重心が下で、しかもお尻が重いから、後ろ気味なんだよ。自分の感覚に近くするためには、そうするしかなかったんだ。けど、そうしたら結構上手く行くんだよな。元々が男だから、恐怖心を克服できたのかも大きいみたいだね」

 なるほど。そうかもしれない。私自身、今日は後ろ向きに倒れてばかりだったもの。けど、前向きに倒れるなんて考えられない。要は心構えの問題なんだろうけど、ちょっと怖い気がする。明日は少しだけ前に重心を置いてやってみようっと。

「さて。そろそろメシだろ?行こうぜ」

「う、うん」

 ぱっと笑いかけて、私を誘う馬場くんに、見えているのは自分の顔なんだけど、少し照れてしまう。何だろ、変な気分だ。ちょっとずつではあるけど、自分の顔が自分のものではないような感覚になってきているのかもしれない。

「よう。やっときたか。で、どうだったんだよ?」

 宴会場ではすでに衛くんと智夏が座って待っていた。私も衛くんの横に腰を下ろす。

「うん。かなりましにはなったよ。転ぶ回数もかなり減ったし」

「そうか。神奈川さんのほうはどうだい?」

「え?あ、うん。やっと前へ進むようにはなったかな。最後の方はちょっと脚が疲れてきたみたいだけど」

「ふうん、そっか。二人とも、結構上達したんだなあ。この分だったら、明日は一緒に滑れるかな」

 ふふ、と不敵な笑みを浮かべながら衛くんがからかってくる。一緒に滑るったって、衛くんが私たちのいる初心者コースに来てくれないと話にならない。それじゃあ、きっと衛くん自身が楽しめないし。

「うーん、できないことはないけど、ちょっと厳しいかな。まあ、無理に付き合ってもらう必要はないよ」

「ふうん、そっか。そうかもしれないな。じゃあ、二人には遊ぶってよりも真剣に練習してもらおうか」

「だね。もうちょっと格好がつくぐらいまでにはなりたいし」

 変に負けず嫌いなところがある私はそう答えていた。馬場くんは特にそんなかたくなではないようだったけど。でも、衛くんと一緒に滑りたいってわけじゃないので、特に口を挟むこともなかったみたい。そんな三人を、智夏がまぶしげな目で見つめていることに私は気付かなかった。

「ねえ。やっぱり明日は遊ぼうよ。最終日だし、最後は楽しんだ方がいいと思うなあ」

 突然、口を開いた智夏にみんな注目する。いきなりじっと見つめられて、ちょっと照れた顔を見せた智夏だったけど、続いて発言をする。

「周りが女子ばっかりだったから、ちょっと男子と滑ってみたかったのよね。相川君は芽衣未がいるから譲るとして、私は馬場君とがいいかな」

「うん?オレは構わないけど・・・二人はどうだい?」

 あっさりと同意した衛くんに対し、私と馬場くんは顔を見合わせた。私たちには、ルームメイト同士の組み合わせ。だけど、外見上は男女カップルなのだ。衛くんと馬場くんのほうはいいとして、こっちは私よりも滑りの上手い智夏との組み合わせなのだ。馬場くんの立場がもっと悪くならないだろうか。

 私があたふたとそんなことを考えていると、馬場くんがふっと柔らかく微笑んだ。あ、この顔を見るといつも安心するんだ。

「うん、いいよ。じゃあ明日はその組み合わせで滑ろう」

 一転して、遊びの方を選択した馬場くん。もしかすると、彼は最初からそのつもりがあったのかもしれない。だけど、私の意志が違ったから、それに同調していただけなのかも。うーん、相手は私なんだから、あまり変な気を遣わなくたっていいのに。

 四人中三人が同意しているのに、私だけ逆らうわけには行かないじゃないの。私もみんなの意見に乗ることにした。

「よし、決まりだな。明日は自由行動で。集合はどこにする?」

 翌日。今日は最終日なので、インストラクターも希望者にだけ教えるということで、基本的には自由だ。私たちは打ち合わせどおり、リフト乗り場で落ち合って(あ、もちろん初心者コースだ)、早速二組に分かれて滑り始めた。

 若干進歩が早かった馬場くんたちのほうが先行して先に行ってしまう。私が足を引っ張るこっちのほうは超スローペースの滑りになった。

「おおっと、大丈夫?はい、手を出して」

「あ、ありがと」

 横転した私に対し、手を差し伸べてくれる智夏。私も素直にその好意に甘えて手をとって立ち上がる。

「ところで、今日はこの組み合わせでよかったのかな?芽衣未との方がよかったんじゃない?」

「え・・・?」

 智夏のいわんとしていることがイマイチ飲み込めずに、私はすぐに返事ができなかった。

「いや、だからさ。馬場君が芽衣未と相川君をくっつけようとしているのを知ってるからこうしたけど、馬場君自身としては、芽衣未と組みたかったんじゃないかって思えて」

「え?え?」

 趣旨がよく分からない私は、智夏の意見にどう答えていいものか分からなかった。っていうか、私自身にも消化しきれていない話題なのだ。簡単に答えられるような話題じゃない。

「答えられない?ふうん、そうかもね。まあ、悩みごとがあったら相談には応じてあげるから」

「は、はあ。ありがとう」

「どうしてそんなこというのか分からない、って顔してるわね。けど、これは覚えておいて。私と芽衣未は親友なの。その芽衣未にとって一番いい方向に持っていくのが私の勤めだと思ってる。だから、芽衣未が馬場君のほうに興味を持ってるなら、そうなるようにするだけよ」

「そ、そうなの?」

 智夏の言葉に涙が出そうになる。けど、智夏がいった話も気になって、それはそれで聞き捨てならない話だ。私が馬場くんのことを?いや、この場合は逆か?馬場くんが私のことを?

「そうじゃないのかなあ。今はどっちつかずの感じだけど。馬場君自身はどう思うの?そんな感じはしない?」

「い、いや。考えたことはないけど。いい人だなあって思うことはあっても、恋人としてはどうかなって感じじゃない?家族みたいな」

「ふうん。そうかもしれないわね。とにかく、二人でいるととっても自然に見えるのよね。そっか、家族か」

 私は今現在、本当に思っていることを彼女に伝えてみる。けど、智夏は納得している風でもなかった。まだ私と馬場くんの間を誤解しているのだろうか。けど、これは周りがどう思おうと、私たち自身の心の問題なんだから。智夏の気持ちはうれしいけど、他人にとやかくされる覚えはない。

「納得行ってないみたいだけど、事実は事実なんだよ。今はまだ芽衣未のことは友達以上には思ってない。おれ個人としては衛と彼女をくっつけるのに全力を尽くすだけさ。だから君も協力してくれ」

「・・・分かった。あんたがそういうなら、私も手伝うよ」

「感謝するよ。じゃあ、滑ろうか」

 私と智夏は残りの時間、じっくりと滑った。そのおかげか、私の腕前はかなりの上達を見せた。何とか智夏と同じぐらいのレベルまで滑れるようになったのだから上出来だろう。

 そう思っていたら、馬場くんはもっと上手くなっていたみたいだ。直接見たわけじゃないので比較はできないけど。まあいいや。私は私なんだし。上達して帰れた、それでいいじゃない。

「よし。じゃあ帰ろうか」

 帰りの飛行機では、概ねみんな爆睡してしまっていた。私の横でも馬場くんが眠っている。

(何だ、もう少ししゃべりたかったのにな・・・まあ、帰ってからでもいいか)

 そんなことを考えているうちに、気が付けば私も眠ってしまっていた。そこで何か楽しい夢を見ていたようなのだけど、結局思い出せなかった。楽しいって記憶だけ残ってるから、かなりハッピーな夢だったんだろう。

 気が付けば帰り着いていた。うーん、明日はゆっくり休んで、明日からまたがんばるか!変な気合を入れる私であった。

――第十四話へつづく


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